年齢、職業、趣味まで埋めたのに、いざ講座の紹介文を書くと手が止まる。
そんなときは、プロフィールを細かくする前に、お客さんが行動した理由を聞いてください。何に困り、どんな状態を望み、何が邪魔をしていたのか。この3つの軸が分かると、講座で教える内容も、申込前に説明すべきことも決めやすくなります。
僕は以前、ペルソナ作成に否定的でした。作っても実務で使いこなせないと感じていたからです。今は、顧客の生の言葉を残し、それを判断に使える形に整理することに価値があると考えています。
インタビューで聞いた言葉を、そのまま講座の見出しにしてよいのでしょうか。ここには、もう一つ必要な作業があります。
ペルソナ作成で先に決めるのは「誰に何を判断するために聞くか」
ペルソナは、調査から見えてきた顧客の特徴や行動を、判断に使える人物像としてまとめたものです。
「30代の会社員」と分かっても、それだけで講座の内容は決まりません。同じ会社員でも、転職のために学ぶ人と、今の仕事を早く終わらせたい人では、欲しい成果が違うからです。
たとえば、Excel講座を作りたいとします。今回決めたいのが「最初に何を教えるか」なら、最近どんな作業で困ったかを聞きます。「申込ページで何を説明するか」なら、比較した教材や、購入前に引っかかった点を聞きます。
あなたが今回決めたいことを、メモの先頭へ1行書いておきましょう。12個の質問を選ぶ基準になります。
月次集計で困っている人が、どの作業を自力で終えられるようになりたいのかを確かめる。
これは、この記事のための架空の企画例です。実在するお客様の相談や成果ではありません。
買った人と、検討して見送った人を分ける
購入者には、選んだ理由や購入直前の不安を聞けます。見送った人には、必要性がなかったのか、条件が合わなかったのか、他の方法を選んだのかを聞けます。
この2つを混ぜて平均的な人物像にすると、「なぜ選ばれたか」と「なぜ選ばれなかったか」が分からなくなります。まず2つのグループに分けて記録してください。あなたの講座を選んだ理由と、見送った理由をそれぞれ確かめられます。
僕の教材でも、成約した人と未成約の人の記録を分けて残すことを勧めています。購入者だけでは分からない判断材料が、見送りの理由に含まれているためです。
顧客インタビューで使う12の質問例
僕が軸にしているのは、現状の悩み、理想の未来、そこへ進めない葛藤です。ただ、「何に葛藤していますか」と聞いても、答えにくいですよね。
最近の出来事から入ると、話が具体的になります。
| 聞く目的 | 質問例 | 回答が抽象的だったときの深掘り |
|---|---|---|
| 1 きっかけ | 最近、このテーマで情報を探そうと思ったきっかけは何ですか? | その直前に何がありましたか? |
| 2 困る場面 | 最近、その問題で困った場面を教えてください。 | いつ、何の作業をしていましたか? |
| 3 影響 | そのとき、どんな支障が出ましたか? | その後の予定や作業はどうなりましたか? |
| 4 試した方法 | 解決するために、これまで何を試しましたか? | 実際に試したのはどこまでですか? |
| 5 続かなかった理由 | その方法で、進めにくかったところはありますか? | どの場面で手が止まりましたか? |
| 6 情報収集 | 方法を探すとき、どこで何と検索しましたか? | 覚えている言葉はありますか? |
| 7 比較したもの | ほかに、どんな教材や方法を検討しましたか? | 候補に残した理由は何ですか? |
| 8 望む変化 | 問題が解決すると、日々の仕事はどう変わりますか? | どの作業を自分でできるようになりたいですか? |
| 9 大切な条件 | 方法を選ぶとき、外せない条件は何ですか? | なぜ、その条件が必要ですか? |
| 10 購入前の不安 | 申し込む前、迷った点は何ですか? | 何が分かれば判断しやすかったですか? |
| 11 選択の理由 | 最後に、その方法を選んだ理由は何ですか? | 比較した方法との違いは何でしたか? |
| 12 見送りの理由 | 今回は見送った理由を、話せる範囲で教えてください。 | 今は別の方法で対応していますか? |
こちらから調査に招いた相手には、参加理由と課題のきっかけを分けて聞きます。「依頼されたから参加した」という返事を、商品を必要とした理由に置き換えないでください。
11は購入・選択した人、12は見送った人向けです。12問すべてを順番に読み上げる必要はありません。相手の回答に出た言葉を拾い、必要なところを深掘りします。あなたが知りたい場面につながったら、用意した次の質問へ急ぐ必要はありません。
「こうなれたら嬉しいですか」だけで需要を判断しない
「毎日の集計が一瞬で終わったら嬉しいですか」と聞けば、肯定しやすい質問になります。その返事だけで、講座を買う理由まで分かったことにはできません。
代わりに、「前回の集計では、どこに時間がかかりましたか」「そのとき、どんな方法を試しましたか」と聞きます。実際の行動が分かると、どこに支援が必要なのかを考えられます。
提案への反応を確かめる時間と、困っている実態を聞く時間も分けておきましょう。最初から自分の商品の良さへ話を誘導すると、別の解決策を探している相手の事情を聞き落とします。
回答を原文・解釈・追加質問に分け、教材の仮説まで記録する
インタビュー後に「Excelが苦手な人」とだけまとめると、せっかく聞いた情報が消えてしまいます。
ここでも、架空の回答例で整理してみます。
毎月、支店別のファイルを開いて数字を貼っています。動画で関数を覚えようとしましたが、自分の表ではどこを変えるのか分からなくなりました。
この1人の発言から「忙しい40代の営業職」と決めることはできません。年齢も職種も、本人は話していないからです。
| 残す欄 | 記入例 |
|---|---|
| 発言の原文 | 毎月、支店別のファイルを開いて数字を貼っています。 |
| 確認できた行動 | 毎月、複数ファイルから転記している。動画で関数を学ぼうとした。 |
| こちらの解釈 | 知識の説明だけでは、自分の表への適用で止まる可能性がある。 |
| 次に確かめること | どの表で、何を変える判断ができなかったのか。 |
| 教材への仮説 | 見本の表から、自分の表へ置き換える練習を入れる。 |
「教材への仮説」は、まだ答えではありません。別の人の話や、試作教材を使う様子でも確かめます。
この5つの欄を残すと、あなたの解釈を原文と照らして見直せます。原文へ戻れるよう、記録ID、実施日、録音の時刻も残しておくと便利です。公開や外部AIへの入力に使うなら、録音・利用目的・利用範囲を事前に説明し、必要な同意を得てください。共有用には個人名や勤務先を除きます。
整理した回答を、根拠へ戻れるペルソナ仮説にまとめる
先ほどの架空の1人について、現時点でまとめられる人物像は次の形です。複数のお客様を代表するモデルとして検証済み、という意味ではありません。
| 項目 | ペルソナ仮説の記入例 | 根拠の状態 |
|---|---|---|
| 対象となる場面 | 毎月、支店別のファイルから数値を転記している | 架空の原文に記載あり |
| 学習で止まった場面 | 関数を動画で学ぼうとしたが、自分の表の変更箇所を判断できなかった | 架空の原文に記載あり |
| 望む変化 | 自分の表で集計を進められるようになりたい | 解釈。本人への確認が必要 |
| 教材選びの条件 | 見本を自分の表へ置き換える説明がある | 仮説。比較・選択の理由は未確認 |
| まだ分からないこと | 作業環境、使うデータ形式、優先度、支払条件 | 記録なし |
回答整理シートに原文と解釈を分けて記入した後、このように人物像を短くまとめます。年齢や趣味を足さなくても、誰のどの場面を支援するかは伝えられます。
別の人の記録を増やしたときに、望む変化や選ぶ条件が異なるなら、同じペルソナへまとめず分けて検討してください。共通する行動や判断が見えてから代表的な特徴をまとめ、次の調査や試作品への反応で更新します。

似た属性でも、止まる理由が違えば人物像を分ける
もう1人の架空の回答も並べてみます。実在のお客様の声ではありません。
「業務の集計は今の方法でできています。転職の応募条件にあるスキルを説明できるように、資格の学習をしたいです」
同じExcelの学習でも、先ほどの人とは、必要な変化が違います。
| 比べること | 最初の架空例 | 追加した架空例 |
|---|---|---|
| 現在の場面 | 支店別の集計に困っている | 業務の集計はできている |
| 止まる場所 | 学んだ関数を自分の表へ使えない | 応募に必要なスキルの説明・証明 |
| 確かめたい質問 | どの列への置き換えで迷ったか | どの応募条件を、何で示す必要があるか |
| 教材の仮説 | 自分の表へ置き換える練習 | 応募条件と学習範囲を整理する支援 |
ここを「Excelが苦手な会社員」へまとめると、後者に不要な集計練習を勧めることになります。属性が似ているかより、望む変化と選ぶ理由が共通するかを見てください。追加例も仮説なので、資格が必要かどうかや具体的な応募条件まで確認してから講座を決めます。
AIには人物を創作させず、記録を整理させる
AIに「Excel講座の理想のお客さんを作って」と頼むと、それらしい人物像を生成できます。でも、その人物が語る悩みは、実際のお客さんから聞いた声にはなりません。
AIに任せたいのは、取得済みの記録から、根拠のある情報と解釈を分ける作業です。
以下は、本記事用に作った整理指示の例です。元教材の有料プロンプトを転載したものではありません。
以下は利用許可を得て匿名化したインタビュー記録です。
記録にある情報だけを使い、次の表へ整理してください。
列:記録ID/原文/現状の悩み/望む変化/試した方法/
進めなかった理由/こちらの解釈/追加で聞く質問
・原文は意味を変えず、該当箇所へ戻れる形で残す。
・年齢、職業、気持ち、購入理由を推測で補わない。
・書かれていない項目は「記録なし」とする。
・事実と解釈を別の欄へ書く。
・矛盾する回答は、一つの人物像へ無理に統合しない。
出力後は、原文と見比べます。「自分の表で使えなかった」が「学ぶ意欲が低い」に変わっていたら修正が必要です。後者は、本人が話していない評価を足しています。
複数の記録を整理するときも、同じ発言が何人から出たかと、それが市場全体で多いかは別です。数名のインタビューから市場規模や購入率まで断定しないようにしてください。
ペルソナを講座の見出しへ変えるときは、提供できる内容まで確かめる
先ほどの架空例なら、「Excelを基礎から学べます」だけでは、自分の表へ応用できるかという不安が残ります。
試作するレクチャーを、次のように具体化できます。
| 聞けたこと | 講座へ反映する仮説 | 受講前に見せる中身 |
|---|---|---|
| 自分の表でどこを変えるか分からない | 見本と自分の表を対応させる練習を入れる | 見本の列を、自分の表のどの列へ置き換えるかを説明する実演 |
| 毎月、支店別ファイルを開いて転記する | 複数ファイルの集計を一つの題材にする | 練習用ファイルと、完成する集計表の見本 |
ここで「誰でも一瞬で集計できる」と広げる必要はありません。扱えるデータ形式や、受講者に必要な前提知識を確かめ、実際に渡せる成果を約束します。
他社にも同じ実演があるなら、それだけを独自の強みにはできません。顧客の声を整理した後、競合と自分の教材を並べて、どこで選ばれるかを決めます。コンセプトの作り方では、この3方向を合わせる考え方を説明しています。
教える内容が決まったら、カリキュラムの設計へ進めます。ペルソナの項目を埋めることより、受講者が止まる場面へ一つの練習を足せること。その状態を目指してください。

まず1人の話から、次に確かめる質問を一つ作る
最初から完璧な人物像を作ろうとすると、聞いていない空欄まで埋めたくなります。
まずは、最近あなたの商品やテーマを検討した人に、きっかけを聞いてみてください。1件の記録でも、「記録する→整理する→確かめる」の3つの作業はできます。あなたが聞いた原文を残し、現状の悩み・望む未来・進めない理由へ分ける。そのうえで、解釈に飛躍があるところを、次の質問に変えます。
「自分の表で使えなかった」と聞けたなら、「どの箇所で判断に迷いましたか」。そこまで聞けると、次に作る教材が具体的になります。
本人の講座制作動画:顧客理解とコンセプトを考える場面
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ExcelやGoogleスプレッドシートで開いて使えます。記入例は説明用の架空例です。ご自身の情報へ置き換えてください。
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あなたの経験を、講座と本で届けるには
今ある知識や経験を、講座や本にして必要な人へ届けたい方へ。僕の著書『マーケティング不要の次世代型コンテンツビジネス』で、何を商品にするか、AIとどう分担するか、学びたい人が集まる場所でどう届けるかをお伝えしています。

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