「自分の得意なことで講座を作りたい。でも、それを買う人はいるのだろうか」
テーマを探していると、人気ジャンルの一覧ばかり増えていきます。AI、副業、語学、仕事術。売れている市場が見つかっても、あなたがそこで何を教えられるかは別の問題です。
自分の経験、相手の困りごと、競合との違い、教え続けられる理由を、同じ表で比べてください。テーマ候補を3つ並べ、残す理由と落とす理由が分かれば、次に調べる1案を選べます。
僕は、好き・得意という自分の側と、必要とされ対価を払う理由がある市場の側を合わせて考えます。流行だけで選ぶより、あなた自身の経験から相手を助けられるテーマを探しましょう。
得意なことを、誰のどんな場面に役立つかまで絞る
「表計算が得意」なら、そのまま表計算の総合講座にする必要はありません。初めて請求書を作る人、月末の集計をやり直す人、データの並べ替えで困る人。それぞれ必要な教材が違います。
まず、自分の中にある材料を集めます。
- 長く時間を使ってきた仕事や趣味。
- 工夫して乗り越えた困りごと。
- 人から何度も聞かれる操作や判断。
- 普段から試し、記録や完成物を残していること。
何年経験したかだけでなく、何を見せて説明できるかまで書いてください。「集計が得意」より、「入力ミスを見つけた実例と、確認に使う表がある」の方が、あなたが教えられる範囲を確かめられます。
他の人にとっても役立つかは、これから調べます。棚卸しの時点で、経験をすべて売れる商品と決めなくて構いません。

売れている市場を見ても、売上まで分かったとは限らない
似た悩みを解決する講座や本があるかを確認します。検索語を変えて、講座、書籍、記事などを探してください。同じ表計算でも「月次集計」「売上管理」「入力ミス」では、別の答えが見つかります。
見るのはタイトルだけではありません。誰に、何を、どの順番で教えているか。公開されている目次や説明、良いレビューと悪いレビューから、望まれることと残る疑問を読み取ります。
ここで、事実と解釈を分けます。受講者数が表示されていても、有料購入だけの人数や売上は分かりません。レビューに1件不満があっても、その問題が全員にあるとは言えません。
| 記録すること | 分けて残す内容 |
|---|---|
| 見たもの | 商品名・URL・確認日・読めた範囲 |
| 観測したこと | 公開目次、レビューの要旨、質問された場面 |
| 自分の解釈 | どの説明や実例が求められていそうか |
| まだ分からないこと | その人の前提、代替方法、対価を払う理由 |
競合があるから必ず売れるわけではありません。ただ、誰が何に対価を払っているかを調べる入口にはなります。分からない欄は想像で埋めず、次の確認へ回しましょう。
僕が、売れそうなジャンルを選んでも苦しくなった理由
僕は以前、稼げそうだという理由で、女性向けの恋愛の悩みを扱う分野を選びました。アンケートや対話で調べ、講座を作り、販売できた経験があります。
ところが、その後が続きませんでした。悩みを理解することはできても、相手の気持ちへ共感できず、関わることが苦痛になってしまったのです。
そこで気づいたのが、ジャンル選びは、お客さん選びでもあるということでした。売れる可能性だけを見て、その相手と向き合いたいかを見落としていたのです。
あなたにも、同じ失敗をしてほしくありません。テーマを決めるときは「何を教えたいか」に加えて、「この困りごとを持つ人へ、質問に答えながら関わり続けたいか」も確かめてください。
好きなら何でも商売になるという意味ではありません。相手が求めることと、自分が続けて応えられること。その両方が必要です。
同じ人の3候補を、需要・証拠・継続性で比べる
ここからは記事用の架空例です。事務職で集計手順を教えている人が、最初の講座を考えます。以下の質問記録や経験はすべて仮定で、実際の市場調査結果ではありません。
| 候補 | 需要を確かめる材料 | 教えられる証拠 | 代替との差・継続更新 | 今回の判断 |
|---|---|---|---|---|
| 新人事務向けの月次集計 | 同僚から集計の確認順を聞かれたメモがある設定。社外にも同じ悩みがあるかは未確認 | 自分の確認表と、架空データで再現できる修正手順 | 月末の確認順に絞る案。代替商品の確認順との違いは未調査。普段の仕事で質問や例を増やせる | 次に需要を調べる候補として残す |
| AI副業で高収入を得る方法 | 人気そうだと感じているだけ。誰の何に答えるか未整理 | 本人はAIの基本操作を試しただけで、収益化の過程を示せない | 高収入という約束を裏付けられず、継続して教える内容も不明 | この約束では落とす。操作講座に変えるなら再調査 |
| 旅行写真をきれいに編集する方法 | 友人に一度質問された設定。何を難しく感じたか未確認 | 自分の写真の編集前後を見せられる | 代替講座との差は未調査。趣味としては好きだが、今は撮影の機会が少ない | 保留。相手の用途と、続けて例を増やせるかを確認 |
残った集計テーマも、「売れる」と判定したわけではありません。手元に説明できる材料があり、次に確かめる疑問が絞れているため、調査を先に進めます。
2案目を落としたのは、AIだからではありません。掲げた成果と、本人が示せる経験が一致していないからです。3案目も捨てる必要はなく、撮影を再開し、質問の中身を聞くことで状況が変わる余地があります。
点数の合計で決めると、大きな欠落が隠れることがあります。需要がありそうでも、その成果を教えられないなら、そのまま販売へ進めません。各欄に書いた根拠から判断してください。

残した1案も、小さく確かめてから本制作へ進む
「社内で質問されたから、個人向け講座も売れるはず」。架空例の集計テーマには、この飛躍が残っています。
調べるべきなのは、社外の対象者が、どんな表を使い、どこで止まっているかです。職場と同じソフトや前提知識があるとは限りません。誰かへ話を聞く場合も、無断で相談内容や資料を公開せず、使ってよい範囲を確かめます。
顧客インタビューの質問と整理方法を使って、困った場面、試した代替方法、まだ解決できない理由を記録しましょう。「こんな講座があったら買いますか」だけで需要があると決めません。
その上で、サンプルデータ、短い操作実演1本、完成表、見直し項目を1組にします。対象の人が作業を始められるか、集計を確認できるか、どこで止まるかを見ます。試す目的と負担は先に伝え、好意的な評価を求める条件は付けません。
たとえば「集計操作ではなく、請求先から届くデータの揃え方で困っていた」と分かれば、今のテーマのまま撮影せず、準備の課題へ絞り直します。既存の入門教材で十分に解決していて、こちらが補える不足を示せなければ、この案も保留です。対象者が集計を始められ、なお確認順で迷う場面が残るなら、その部分を次の試作へ加えます。観測した結果によって、残した案も変えてください。
学習に役立つことと、購入されることも別です。使えたという反応があっても、販売時の対象、価格、入口、提供範囲を検証する作業は残ります。
日常で知識を更新できるテーマは、次の教材を育てやすい
一度だけできたことを教えるのと、普段から実践していることを教えるのでは、その後に集まる材料が違います。
集計テーマなら、新しい質問、例外の処理、説明を変えた結果を、許可できる範囲で記録できます。あなたの生活や仕事の中で、自然に試し直す機会があるかを確認してください。
ただし、同じ内容を増やすだけでは受講者の助けになりません。入門の確認ができた人が、次に何で困るかを聞きます。現在の講座の不足を補えば済むのか、別の課題へ進む教材が必要なのかを分けましょう。
需要を確かめる候補が絞れたら、そのテーマを提供価値の分かるコンセプトにする工程へ進めます。テーマ選びの段階で、全講座の構成や販売の仕組みまで一気に完成させる必要はありません。
講座テーマの種を自分の中から見つける
この記事の記入シートをダウンロードする(CSV・記入例付き)
ExcelやGoogleスプレッドシートで開いて使えます。記入例は説明用の架空例です。ご自身の情報へ置き換えてください。
3案から、次に調べる1案と確認する疑問を決める
今ある経験を3つ書き、相手の困りごと、見せられる実物、競合が既に答えていること、続けて更新できる理由を埋めてください。
空いている欄には、次に何を見れば判断できるかを書きます。手元の資料を整理するのか、競合の別の検索語を調べるのか、相手に困る場面を聞くのか。今日の作業が1つに決まれば、人気ジャンルを眺め続ける状態から抜け出せます。
あなたが実際に教えられ、相手も求めていて、その人に向き合い続けられる。その重なりから、最初の講座テーマを育てていきましょう。
次の工程へ進むための関連記事
あなたの経験を、講座と本で届けるには
今ある知識や経験を、講座や本にして必要な人へ届けたい方へ。僕の著書『マーケティング不要の次世代型コンテンツビジネス』で、何を商品にするか、AIとどう分担するか、学びたい人が集まる場所でどう届けるかをお伝えしています。

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